New
CentOS終了後、あなたの選択肢は?主要移行先と未来戦略(最終回)

CentOS後の選択肢と未来への展望

CentOSのサポート終了に直面し、多くの企業やエンジニアがその先を見据えた選択を迫られています。
ITインフラの基盤として長年活躍してきたCentOSが役目を終えることで、エンタープライズ向けシステムの安定性や運用効率を維持するには、新たなプラットフォームへの移行が避けられません。
一方で、この変化は課題だけでなく、将来の可能性を模索する機会でもあります。
本記事では、CentOS後の主要な選択肢や移行プロセスの課題、そして新たな展望について詳しく掘り下げます。

CentOS後の主要な選択肢

CentOSのサポート終了後、多くの企業やエンジニアが「次の一手」を探し始めています
従来のCentOSに近い選択肢や新しい選択肢を検討する動きが活発です。
以下では、主要な選択肢とその特長を紹介します。

1.AlmaLinux
AlmaLinuxは、CentOSの「1対1のクローン」を目指して開発されたオープンソースのディストリビューションです。
安定性と信頼性を重視し、エンタープライズ用途に適した構成を提供しています。
CentOSからの移行ツールも提供しており、既存システムを比較的スムーズに移行できる点が魅力です。
また、非営利団体が管理しているため、企業に依存しない独立性が評価されています。

2.Rocky Linux
Rocky Linuxは、CentOSの創設者であるグレゴリー・カーツァー氏が中心となって立ち上げたディストリビューションです。
「エンタープライズ向けの信頼性あるオペレーティングシステム」を提供することを目標にしており、特に長期的な安定性を重視しています。
AlmaLinuxと同様、移行ツールや既存のCentOSユーザーをサポートするエコシステムが整備されています。

3.CentOS Stream
CentOSの直接的な後継として、Red Hatが提供するCentOS Streamは、RHELの「開発版」として機能します。
新しい機能がRHELに組み込まれる前のテスト版としての役割を果たすため、安定性よりも最新技術の導入を重視する運用スタイルが求められます。
企業で使用する場合、頻繁なアップデートへの対応が課題となる可能性があります。

4.他のLinuxディストリビューション
UbuntuやDebianなど、Red Hat系以外のディストリビューションへの移行を検討する企業もあります。
これらは、異なるパッケージ管理システム(例: APT)を使用するため、運用に一定の学習コストが発生しますが、長期的なサポートや幅広いコミュニティサポートが利点です。

移行プロセスの課題

移行プロセスにおいて、多くの企業が以下の課題に直面する可能性があります。

1.リソースの確保
新しいプラットフォームへの移行には、従業員のスキルセットやリソースが大きく影響します。
移行作業に必要な人材や時間を確保することが、特に中小企業にとって大きな負担となります。

2.データやアプリケーションの互換性
移行先のプラットフォームが、既存のアプリケーションやシステムとどの程度互換性を持つかが重要なポイントです。
互換性が低い場合、移行後にシステムの再設計やアプリケーションの調整が必要となり、コストが増大する可能性があります。

3.長期的な運用とサポート体制
選択肢によっては、長期的なサポート体制が不透明な場合があります。
例えば、新しいプロジェクトであるAlmaLinuxやRocky Linuxは信頼性を高めていますが、将来的な運用リスクを考慮する必要があります。

未来への展望とチャンス

CentOSのサポート終了は、多くの企業にとって課題をもたらす一方で、新しい展望を切り開くチャンスでもあります。

1.クラウドへの移行加速
多くの企業が今回の移行を契機に、オンプレミスからクラウドへのシステム移行を検討しています。
AWS、Azure、Google Cloudなどのプラットフォームは、Linuxサーバーの運用を効率化するツールやマネージドサービスを提供しており、運用負担の軽減が期待されています。

2.オープンソースコミュニティの発展
AlmaLinuxやRocky Linuxの台頭は、オープンソースコミュニティ全体に新たな活力を与えています。
これらのプロジェクトを支援することで、企業は自社だけでなく業界全体のIT基盤強化に貢献できる可能性があります。

3.新技術への対応力強化
CentOS Streamのように最新技術を取り入れる環境を選ぶことで、企業はテクノロジーの進化に柔軟に対応できる体制を整えることができます。
これにより、競争力を高めるための基盤を築くことが可能です。

まとめ

CentOSのサポート終了は、多くの企業に課題と共に新たな選択肢を提供しました。
どの選択肢を選ぶかは、各企業の運用方針やリソースによって異なりますが、移行プロセスを計画的に進めることで、課題を乗り越えることができます。
また、今回の変化をきっかけに、ITインフラ全体を見直し、新しい技術や運用モデルを導入することで、より競争力のある基盤を築くことが期待されます。
CentOSの遺産を未来へと繋げることで、IT業界全体がさらなる成長を遂げるでしょう。

第1回の記事はこちら

この記事を書いた人

代表取締役 榎本登志雄

これまでITインフラの専門家として、さまざまな業種の顧客に対しITコンサルティングを提供し、延べ300社のサポートを統括。また、地方自治体向けの教育コンサルティングも手掛けており、これまでの経験を活かしたコンサルティングが高く評価され、全国各地で実施している