「このパソコン、まだ動くし、経費も抑えたいから壊れるまで使おう」
会社のパソコン(PC)を前に、そうお考えになったことはありませんか?一台十数万円もするPCは、できるだけ長く使いたいというのが経営者の皆様の本音だと思います。
しかし、その「まだ使える」という判断が、実は気づかぬうちに会社の利益を損ない、大きな経営リスクを生んでいる可能性があります。
この記事では、ITに苦手意識をお持ちの経営者様にも分かりやすく、社用PCの適切な買い替え時期と、なぜそれが重要なのかを、ITのプロの視点から解説します。
「まだ使える」が危険信号?古いPCが招く3つの経営リスク
一見、コスト削減に見える「PCの長期利用」。しかし、その裏では目に見えない損失やリスクが日々膨らんでいます。
1. 人件費の損失
「PCの起動が遅い」「資料を開くのに時間がかかる」――この待ち時間は、給料を支払っているにも関わらず、何も生み出していない時間です。社員1人あたり1日たった5分のロスでも、年間(240日勤務)で約20時間もの損失になります。社員5人の会社なら年間100時間です。これは、人件費という確実なコストが流出していることに他なりません。
2. セキュリティ事故の脅威
これが最も深刻なリスクです。例えば、現在多くの企業で使われている「Windows 10」の公式サポートは、2025年10月14日で完全に終了します。
サポートが終了するとは、家の玄関の鍵が壊れても、メーカーが修理してくれなくなるのと同じ状態です。セキュリティ上の弱点が見つかっても修正されず、ウイルスやランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の格好の標的となります。万が一、顧客情報や機密情報が流出すれば、会社の信用は失墜し、事業継続すら危ぶまれます。
3. 社員の士気低下と採用への悪影響
動きの遅いPCは、社員にとって日々の大きなストレスです。「道具」が悪いことで業務が滞れば、優秀な社員ほど不満を感じ、離職の原因にもなりかねません。また、新しいPCを支給できない会社というイメージは、採用活動においても不利に働く可能性があります。
買い替えはいつが正解?ITのプロが教える判断基準
では、具体的にいつ買い替えるのが正解なのでしょうか。私たちは、主に3つの基準で判断することをおすすめしています。
基準1:OSのサポート期限
これは最も分かりやすく、絶対的な基準です。前述の通り、Windows 10のサポートは2025年10月14日に終了します。この日までに、後継の「Windows 11」が搭載されたPCへの入れ替えを完了させる必要があります。現在お使いのPCがWindows 11の要求スペックを満たしていない場合、PC自体の買い替えが必須となります。
基準2:業務内容との不適合
会社の成長に伴い、新しいツールを導入する場面は多いでしょう。例えば、顧客管理のために「Salesforce」を導入したり、Web会議で「Zoom」や「Microsoft Teams」を多用したりする場合です。古いPCではこれらのアプリケーションが快適に動かず、業務のボトルネックになることがあります。
基準3:体感できる性能低下
以下のような症状が複数見られる場合も、買い替えのサインです。
- PCの起動に1分以上かかる
- Web会議中に映像や音声が頻繁に途切れる
- 簡単な作業でも冷却ファンの音がずっと鳴り続けている
賢いPC入れ替え計画の立て方【明日からできること】
「リスクは分かったが、全台一気に入れ替える予算はない…」という経営者様もご安心ください。重要なのは、計画性です。
まずは、社内にあるPCのリストを作成することから始めましょう。Excelなどの簡単な表で構いません。「誰が」「いつから」「どのPC(OSは何か)」を使っているかを一覧で把握するのです。
その上で、「購入から4年経ったものから、毎年全体の4分の1ずつ入れ替える」といった社内ルール(リプレイスサイクル)を設けることをお勧めします。これにより、毎年のIT予算が平準化され、突発的な出費に慌てることもなくなります。月々の支払いが一定になる「リース契約」を利用するのも賢い選択肢の一つです。
まとめ
社用PCの買い替えは、単なる「消費」や「コスト」ではありません。会社の生産性を高め、情報を守り、社員の満足度を向上させるための「投資」です。
特に、2025年10月のWindows 10サポート終了は、全ての企業にとって待ったなしの課題です。
「自社のPC環境、このままで大丈夫だろうか?」
「何から手をつければいいか分からない…」
もし少しでもご不安に感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。私たちは、中小企業の皆様の状況に寄り添い、最適なIT環境づくりをサポートするパートナーです。